昨日に続き
今回は、③原状回復とは?
④経年劣化と原状回復の関係
の2点を説明していきたいと思います。
③原状回復とは?
賃貸物件を借りると、入居者(借主)には原状回復義務というものが生じます。
原状回復義務とはどういうものなのでしょう。ガイドラインでは以下のように定めています。
「貸借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、貸借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による消耗・毀損を復旧すること」
つまり、わざと壊したり、不注意で傷をつけたり、掃除を怠ったりしてできた汚れなどは、入居者の使い方に問題があったとみなされ、その修繕費用は入居者が負担するということになります。
例えば、家具を移動させるときにつけてしまった傷、飲みこぼしを放置してできたシミ、掃除をしなかったためにできたバスやトイレの水垢やカビなどです。タバコによる壁の黄ばみや臭いも、自然に着色したものではないとして原状回復の対象に該当します。
ちなみに、画鋲の穴は通常損耗と説明しましたが、クギやネジなど下地ボードの張り替えが必要な穴の場合は原状回復費用を請求されることもあります。
④経年劣化と原状回復の関係
では、入居者の過失による傷や汚れがある場合、その原状回復費用は全額支払わなければいけないのでしょうか。
契約内容にもよりますが、答えはNOです。
原状回復費用は、すでに賃料として支払っている経年劣化と通常損耗分を差し引いて考えるのが基本です。 経年劣化と通常損耗による価値の減少は、内装材や設備の耐久年数と入居年数を踏まえて考えます。
では、耐久年数を超えた設備は、入居者の不注意で破損させてしまっても、工事費用はかからないのでしょうか?
ガイドラインによると、耐久年数を超えたとしても継続して使用可能な設備に入居者の故意・過失によって工事が必要になった場合には、その工事にかかる費用の一部を入居者側も負担する可能性がある、としています。
賃貸物件は、あくまで借りた部屋です。
民法では他人の物を借りた場合、一般的・客観的に要求されるレベルの注意を払って使用する「善管注意義務」が生じます。耐久年数にかかわらず、注意を払って使用する義務があるのです。
~経年劣化かどうかチェックしたいところ~
部屋の汚れや傷が、経年劣化または通常損耗なのか、それとも原状回復義務の範囲に含まれるのかは気になるところです。
ここでは、特にチェックしたいところをピックアップしました。
クロスのポスターやカレンダーなどによる変色や画鋲の穴は、経年劣化および通常損耗の範囲。
しかし、エアコンからの水漏れ放置によるカビや、子どもの落書き、タバコやペットによる汚れや臭い、クロスのはがれ等を放置したことによる、破けなども原状回復義務に含まれるため費用負担が生じるでしょう。軽微な補修は、善管注意義務に含まれるからです。
床の家具を置いたことによる凹みは、経年劣化および通常損耗の範囲。家具や椅子を引いてできた擦り傷や、何かを落としてできた深い傷などは原状回復義務に含まれます。
キッチン、バス、トイレなどの水回りは、油汚れや水垢・湯垢、カビなど、水回りは汚れが付着しやすい設備です。判断基準は、その汚れが一般的な範囲かどうか。
目視して汚れがひどい場合は、入居者負担になるケースが多いです。 仮に入居者負担になった場合、クリーニングで済む程度の汚れであれば費用はそれほどかかりませんが、設備交換が必要な場合は負担額が大きくなるため注意が必要です。退去時のある程度掃除もポイントです。
そのため、普段の掃除、軽微な補修や何かあった時には早めの連絡が大切になります。軽微な補修方法がわからない場合は管理会社へ問い合わせてみて下さい。
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